硬質塩ビ管・継手のシーリング材適用

◇◇硬質塩化ビニル管・継手に対するシーリング材の適用◇◇

昨年,集合住宅給水用配管(HIVP 20*)周りに1成分形シーリング材を使用したところ,配管に亀裂が発生し漏水を引き起こしました。塩化ビニル管・継手協会と共同で実施した不具合原因究明及び対策等に関しお知らせしますので,これらの部位に対するシーリング材の適用については十分注意を御願いします。
 注)HIVP:JIS K 6742(水道用硬質塩化ビニル管)に規定される「耐衝撃性硬質塩化ビニル管」

《不具合現象について》

室内に配管されている給水用塩化ビニル管・継手の貫通部周りに1成分形シーリング材を適用したところ,時間経過後に配管が破損し室内に漏水を引き起こしました。

《不具合原因について》

一般的にシーリング材にはゴム弾性を付与したり,施工時の作業性能を改善するため,液状の可塑剤や非反応性高沸点希釈剤(有機溶剤など)等が成分として含まれています。また,最近の上水道はレバーの開閉により瞬時に水を止める機構が増え,止水した際に一瞬圧力が上がり配管に膨張方向の応力が発生するケースがあります。
硬質塩化ビニル管(以下塩ビ管という)に発生する変形(応力)とシーリング材に配合された液状成分の影響により塩ビ管に微細なクラック(亀裂)が発生し,さらに応力が繰り返し加わることによりクラックが成長し破壊に至ったものと推察されます。
なお,圧力が加わらない排水用配管での破損事故は報告されていませんが,同様の現象が発生する恐れがありますので,ご使用の際は十分にご注意下さい。

《シーリング材成分の影響について》

通常,同用途に使用されるケースが多いと考えられる1成分形のポリウレタン系,シリコーン系及び変成シリコーン系シーリング材で配合されている液状成分の影響を確認しました。その結果,フタル酸エステル系可塑剤及び非反応性高沸点希釈剤の少なくともどちらか一方を配合しているシーリング材で,変形状態の塩ビ管表面にソルベントクラックの発生が認められました。

《硬質塩化ビニル管・継手に対するシーリング材適用時の注意》

クラック発生の原因がシーリング材に含まれるフタル酸エステル系可塑剤及び非反応性高沸点希釈剤であるため,これらの成分の有無をMSDS(製品安全データーシート)で確認されるかシーリング材メーカーへのお問い合わせをお願いします。
なお,1成分形シリコーン系シーリング材はソルベントクラックの原因となる上記成分の配合は少ないものと考えられますが,シーリング材表面への被塗装性(シリコーン表面には塗料は付着しません。)及び雨掛り部で撥水汚染(目地周辺部の汚染)が発生しますので,仕様の事前確認をお願いします。

《硬質塩化ビニル管・継手に対するシーリング材推奨品》

注)プライマーは塗布しないこと
会社名 商品名 備考
サンスター技研(株) ペンギンシール2510
330mlカートリッジ
JIS G・F-25HM-9030
高モジュラス
脱アルコール形
ペンギンインドアシールSR2512
330mlカートリッジ
JIS G・F-25HM-9030
室内専用シーリング材(防カビ)
高モジュラス
脱アルコール形
東レ・ダウコーニング(株) SE960
330mlカートリッジ
JIS G・F-25HM-9030
高モジュラス
脱アルコール形
会社名 商品名 備考
サンスター技研(株) ペンギンシール2550HM
320mlカートリッジ,320mlエコカート
高モジュラス
ペンギンインドアシールMS2551
320mlカートリッジ
室内専用シーリング材
シャープ化学工業(株) シャーピーヘンセイシリコーンLM
320mlカートリッジ,330mlパウチパック
JIS F-20LM-8020
低モジュラス